世界陸上は、記録よりも“心を動かす瞬間”が魅力。
同じ時間に同じ熱気を感じられるって、スポーツファンにとって最高じゃないですか?
そして、多くの人が注目する100m走やマラソンも良いですが、フィールド競技の魅力も忘れてはいけません。特に、あの重そうなハンマーを、クルクル回って投げるハンマー投げ。
初めて観た時、「なんであんなに回るんだろう?コアの鍛え方やばい!」って、私のような素朴?な疑問を持った人も多いのではないでしょうか?
今日は、そんな陸上ファンならずとも「へぇ〜!」となる、ハンマー投げの(少しだけ)奥深い世界を一緒に覗いていきましょう。この知識があれば、世界陸上での観戦が何倍も面白くなりますよ!



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なぜグルグル回る?遠心力の秘密
ハンマー投げを観戦していて、一番最初に目を引くのは、選手がコマのように高速で回転する姿ですよね。この回転こそが、重いハンマーを遠くまで飛ばすための最大の秘密。
選手は、この遠心力を最大限に利用して、ハンマーに猛烈なスピードを与えます。遠心力は、回転する物体が外側へ向かって引っ張られる力のこと。まるで、輪投げの輪を勢いよく投げるときに、手首を回してスピードを増すようなものです。選手は何度も回転を重ねて、ハンマーを宇宙へと投げ飛ばすためのエネルギーを溜めているんですね。
ちなみに、この回転、ものすごいスピードなんです。トップ選手になると、ハンマーの先端は時速100kmを超えることも!新幹線の窓からハンマーを投げたら、あんな感じになるのでしょうか。想像しただけで恐ろしいですね(笑)。


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ただの力自慢じゃない!投擲の技術
ハンマー投げというと、ゴリゴリの力自慢に見えますが、実は繊細な技術が詰まった競技です。特に重要なのが、「投げる角度」と「初速」。この二つが、飛距離を決定する鍵となります。
最適な角度は、およそ45度。
これは、野球のフライを打つ時や、物を遠くに投げようとする時と同じ原理です。
角度が低すぎると地面にぶつかってしまい、高すぎると上にばかり飛んで遠くまで届かないのだとか。つまり、トップアスリートたちは、まるで職人のように、ミリ単位の角度調整を行っているのです。
また、「初速」を上げるために、選手は体全体をバネのように使います。脚力から腰、そして腕へと、力をスムーズに伝える。
この技術が優れている選手ほど、同じ体格でもより遠くに飛ばせるのです。見かけによらず、まるでバレエダンサーのような、しなやかで美しい動きが求められるんですね。
世界のハンマー投げを牽引する注目選手
ハンマー投げの観戦をさらに面白くするために、世界のトップ選手を何人か紹介しましょう。彼らの投擲フォームや、試合での駆け引きに注目すると、あなたもきっとハンマー投げの虜になるはずです。
1. パウエル・ファイデク(Pawel Fajdek)選手 / ポーランド
ハンマー投げの「絶対王者」として知られるポーランドのベテラン選手です。世界選手権では5回も金メダルを獲得しており、その圧倒的な安定感は他の追随を許しません。彼の投擲は、まるで精密機械のように狂いがなく、毎回素晴らしい記録を叩き出します。彼の試合を観ることは、ハンマー投げの教科書を読んでいるようなものです。



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2. イーサン・カツバーグ(Ethan Katzberg)選手 / カナダ
23歳にしてすでに圧倒的な存在感を放つカナダの選手です。2023年の世界陸上と2024年のパリオリンピックで金メダルを獲得しており、今やファイデク選手最大のライバルと言われています。彼の強みは、その爆発的なパワーと規格外の飛距離。名前のインパクトも相まって、ネット上では「名前も見た目もつよい」と話題になりました。



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3. 室伏広治選手 / 日本
日本の陸上ファンなら、誰もが知るレジェンドです。2004年のアテネオリンピックで金メダルを獲得し、日本に大きな感動をもたらしました。彼の素晴らしいところは、圧倒的な技術力と、それを支える強靭な肉体です。現役を引退されていますが、彼の映像を観て、その技術の高さに改めて驚かされる人は少なくありません。日本のハンマー投げの礎を築いた彼の存在は、私たちにとって永遠の誇りです。



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皆が抱く疑問に答えます!陸上観戦の「なぜ?」
スポーツを観ていると、「なぜあの選手は〇〇するんだろう?」と素朴な疑問が湧いてきませんか。
そんな疑問に答えることで、観戦はさらに奥深く、面白くなります。ハンマー投げに関する、よくある2つの疑問にお答えしましょう!
1. なぜスポーツをする時、選手は大声を出すの?
ハンマー投げ選手が投擲の瞬間に雄叫びをあげる姿をよく見かけますよね。あれは、単に気合を入れているわけではないんです。この雄叫びには、科学的な理由があります。
人間は、力を入れる瞬間に声を出すことで、腹圧を高め、筋肉を効率的に収縮させることができます。これにより、より大きな力を発揮できるのです。
また、雄叫びは、精神的な集中力を高め、恐怖心や緊張を払拭する効果もあります。
私も学生時代にバレーボールでサーブを打つとき、「よっしゃー!」と叫んで、自分を奮い立たせていましたし、常に「さあ、行こー!」と、いかなる状況でも試合中は声を出していました。
運動部の経験者のあなたなら、共感してもらえますよね?あの瞬間は、体と心が一体になる感じがして、なんだか力がみなぎる気がしていました。



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2. なぜハンマー投げでファールになるの?
せっかく遠くまで投げたのに、ファールになってしまうと悔しいですよね。ハンマー投げのファールには、いくつかのルールがあります。知っておくべきは主に以下の2つです。
- **投擲サークル外に出る:** ハンマーを投げる前に、選手は投擲サークル(直径2.135mの円)から出てはいけません。また、投擲が完了するまで、このサークルから出てしまうとファールになります。
- **ラインを踏む・超える:** ハンマーを投げ終わった後も、サークルから出るときに、サークルの縁にある白線(ライン)を踏んだり、超えたりするとファールになります。


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選手は、ギリギリまで力を出し切るため、このラインのギリギリで踏ん張っています。この一瞬の駆け引きも、ハンマー投げの醍醐味です。
私は、TVの前で興奮しすぎてお大声で思わず立ち上がってしまい、周りの人に『ちょっと待って!うるさい!』と言われたことがあります(笑)。
皆さんもきっとありますよね?
まとめ:ハンマー投げは究極の「力と技の共演」
ハンマー投げは、ただ重いものを投げる力比べではありません。物理学に基づいた精密な技術、そして日々のたゆまぬ努力が、あの驚異的な飛距離を生み出しているのです。
次の世界陸上では、ぜひこの「力と技の共演」に注目してみてください。きっと、今までとは違った感動があなたを待っているはずです。そして、もし隣に座った人が「なんであんなに回るんだろう?」と聞いてきたら、ぜひこのブログの知識を披露してあげてください(笑)。
そして、どんなドラマが生まれるか、一緒にワクワク待ちましょう!
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